2009年12月30日

【読了】シャドー81【四】

本書は昭和52年(1977年)発行であり、かなり古い。
さすがのamazonをみても新品はなく、中古品のみ。
と思ったら、ちょっと高くなってはいるが新装版が発売された模様。
このサイトでお勧めとあったので、何かのついでに中古を買い、積ん読状態であった。

一冊で440ページほどだが、昨今のたるい小説本と異なり、結構文字が小さく、読み応えがある。
amazonからの作品紹介から引用。

ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべき通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人命と引き換えに巨額の金塊を要求、地上にいる仲間と連携し、政府や軍、FBIを翻弄する。斬新な犯人像と、周到にして大胆な計画―冒険小説に新たな地平を切り拓いた名作。



一見ミステリーのようだが、そうでもない。
第1部で事件の準備段階が語られ、第2部で事件が起き、第3部でその後がまとめられる。
途中、詳細だけど大事なところを黙したストーリーが描かれ、最後にそれらがつなぎ合わされて、全体として一枚の絵になるような感じ。
この小説がすごいのはこの第1部で、多少ご都合主義もあるものの基本的によく考えられた作りになっている。
伏線の匂いも至る所にちりばめられ、それらが後できっちり効いてくる。


ストーリーの垂直離着陸機をうまく使った事件。
最初こそ悪い人間が事件をたくらみ、正義の人間がうまく解決するのかと思っていたが、そうでもなく、途中からは事件を企んでいる側を応援したくなるようなストーリー構成だった。

面白い小説には違いない。
ただ、特にこの話から得られる示唆はなく、純粋な娯楽読み物である。
それが普通と言われればそうだろうが、少し物足りない。

この話にはもう少し後日談が続きそうな気がする。
この「あと少し読みたい」と思わせる終わりかたもこの小説の魅力を増しているのだろう。




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2009年11月19日

【読了】週末のフール【四】

一時期、どの書店でもランキング上位に紹介されていた本書。
普段あまり小説は読まないが、話題の本だし、作者は村上春樹の信奉者だというし、会社の同僚が好きな作家として挙げていたし…、などなどの理由で購入してみた。

Amazonから内容紹介転記。
八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。


本書に収められているのは、「小説すばる」に2004年2月から2005年11月まで、計8回掲載された短編の集まりである。
順番に収録されているので、前の話で出てきた人や事件が次の短編で少し触れられたり、かすったりして、一つの団地を舞台に、時間が経過しながら、小説の中の世界が進んでいく様子を読者に意識させる。そして、それはすなわち小説世界の破滅までの時間が刻一刻と近づきながら、それでも日々の生活を送る人々を強く印象づける。


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2009年11月18日

【読了】パターンによるソフトウェア構成管理【一】

前回の[Subversion実践入門]で参考文献にあげられていたので、会社図書を検索して取り寄せてみた。

構成管理をパターンとして研究し、構成管理ツールについての紹介も巻末につけて本にした感じ。
なんだか大学での研究結果を読んでいるようで、いろんな状況を一般的に網羅するあまり、具体性に落とし込むのが面倒な印象を受けた。
それでも、このように一般的な観点からいくつかのパターンに分けて関連性をまとめることには意義がある。

…と、本書の内容・意図が有意義なのは認めるが、本書は正直読みにくい。
何というか、言葉でずばっと指摘しにくいが、文章が不自然。

そもそもこの本は海外で出版された本を翻訳してあるわけだが、その訳がどこかのサイトで一文ずつ機械翻訳してちょっと手直したのかと思うほど不自然。
確かに原書にあたっていないので、断定はできないが、もしかすると英語のまま読んだ方が理解は進むかもしれない。
それほど不自然な日本語が邪魔して読む気が失せる。

どんなにすばらしい内容でも、プレゼンが下手だと聞く気が起きない。結果、誰にも認められない。
この本は他山の石としてはよいけれど、構成管理を学ぶにはあまり適してないと感じる。少なくとも新品で3000円近い価値はない。
前回の[Subversion実践入門]の方がよっぽどためになる。


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2009年11月09日

【読了】Subversion実践入門【五】

会社での私の役割の一つに「システム開発環境を整える」という、いわゆる「雑用」とか「共通作業」と呼ばれる仕事がある。
システム開発の規模は千差万別なわけだが、比較的小さなPJ(受注数億円ぐらい)だと、そういう「プログラマがシステムを構築する以外の作業をする専門部隊」を設けるほど人員の余裕がない。
そこで何でも屋にならざるを得ない発注側の下っ端がその役割を負うわけだ。

そんなPJの「共通作業」の一つに、プログラマと密接に関わって大切な作業となるのが構成管理。
要は多数の人が共通の成果物を更新しながら作り上げていくシステム開発において、何が最新なのか、今システムとして動いているのはどのバージョンの物なのか、きっちり管理する必要がある。
この分野は非常に奥が深くて、それを専門とする学問分野が一つあるほどだ。

ここで重要な役割を果たすのが、構成管理ツール。
PJによってどれを選択するかは千差万別で、私の周りのPJを見渡すだけでも、CVS、VSS、StarTeam、Subversionなどがある。
# こういうものはPJ横断的に共通化してノウハウを共有した方が全体として効率が上がると思うのだが、それはまた別の話。

前置きが長くなったが、そんな構成管理ツールとして、現在メジャーなSubversionを解説したのが本書。



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2009年10月01日

【読了】反=日本語論【五】

「日本語に酔う」という表現がぴったりくる。
百聞は一見にしかず。少し引用してみる。

p.35
あるイメージの記憶

何も別だん斜に構えて無関心を誇示する必要もないし、軽蔑や敵意をちらつかせつつ批判めいた言辞を弄するほどの興味もないのだから、たとえばそれが世界に存在してしまうことを不当だと断じようとは思わぬが、さりとて積極的に好きになる理由も発見しがたいといった料理とか人の顔とか、とにかく曖昧にその脇をすりぬけてしまえばもうそれで充分だと納得しうる種類の何ものかの一つとしてテレヴィジョンと呼ばれる装置があるわけで、まあいってみればすべては趣味の問題に帰着しうるとするほかはないのだが、たぶん倖いなことにというべきだろう、妻もまたさりげなくその無関心を共有してくれるので、テレヴィジョンへの執着の希薄さは、もちろん「比較的」というほどのことだが、われわれの子供のうちに遺伝として確実に受けつがれている。というか、当年九歳になる一人息子は、両親との類似を装う術をしかるべく心得ていて、いまのところは反乱の気配すら示そうとはしない。


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posted by K大 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本を楽しむ