2010年01月04日

【読了】問題プロジェクトの火消し術【五】

今更のことながら、システムを作るというのは非常に難しいことを日々実感しながら仕事をしている。
ここ1ヶ月ぐらいの間で、何人かの友人とも話をしたが、やはり現実の物をあっちこっちすることが仕事の「建築」や「運輸」と違って、目に見えないものを作り出すシステムはその特性が異なる。
もちろん、どちらが難しいというのではなくて。

まだまだ経験の浅い自分ではあるが、それでも仕事を進める中で思うことは色々とある。
・プロジェクト運営をどのようにすればより効率よく仕事を進めることができるのか。
・要員のモチベーションを高く保つためには何に気をつけて作業指示するべきか。
・会社間のいざこざをどのように収めるべきか。
・上の方の人が言うことと、現場の人間の意識のギャップをどのように折り合いつけるか。
・監査人への報告をどのように手間かけずに行うか。
・ユーザとの調整を滞りなく行うには、どのように話を持って行くべきか。
etc...
おそらくこの難しさは、一つとして同じプロジェクト運営がないこと、属人的な部分が大きいこと、よって「これに従えばよい」というマニュアル的なものがなかなか整備しにくい、または過去の経験がそのまま生かせないことにある。

そんな中、前々から積ん読状態であった本書に年末年始休みを利用して手をつけた。
本書はいわゆる「炎上」状態に陥ったプロジェクトをリカバリする課程を追いながら、その手順解説を行っている。
著者は「長尾清一」氏。本の裏書きを見ると、米国で大規模プロジェクトの指揮・監督に携わり、現在は研修やコンサルティングを行われているようだ。





本書のよいところは、話が一般論に終始せずに、具体的な話を多数収録し、かつ使用したツール(チェックシートや帳票)もしっかり記載されている点。
当然、これがすべてのプロジェクト炎上に対応するものではないが、これだけしっかりした指標を立ててくれれば、個々のカスタマイズもやりやすい。

この「具体的」というのが本書は相当なもので、想定問答集や実録・失敗プロジェクトなるコラムを読んでいると、鳥肌が立つほどリアリティがあって、純粋な読み物としても非常に面白い(本当は怖い)。
ここまでリアリティがあるのは、おそらく著者の経験に基づく話だからであろうが、無責任な上司、身勝手なユーザ、聞き分けのない現場など、さぞストレスがたまったであろうと想像できる。

ひとえに周りの方が優秀なおかげで、幸運にも私はこれまで炎上プロジェクトに携わったことはないし、これからもそうありたい。
すなわち、具体的に本書の過程をなぞるような現場に遭遇してはいないのだが、最底辺からのリカバリ手法を見ていると、そもそもそこに落ちていかないためには普段がどうあるべきかが浮き彫りにされているようで、とても参考になる。

苟もプロジェクトをまとめなければならない者は、OJTなどの現地トレーニングだけではなく、本書のような一般的・実践的な勉強をきっちりすべきである。
うちでも大学の輪講みたいな感じで、このような本を対象に若手勉強会を開いてもいいかもしれない。
非常にためになる一冊であった。また折を見て、各章にわかりやすくまとめられているSUMMARYを中心に定期的に読み返したい。



posted by K大 at 16:49 | Comment(2) | TrackBack(0) | 本を楽しむ
この記事へのコメント
ツイッターは最近よくつぶやいておられますねえ.もっともっとつぶやきましょう。そちらの首相も始めたようですが、ファローはしてません.ツイッターの本質(リアルタイムに何を思っているか)ではなく、人気取り(私も時代最先端で国民の意見を聞く)の手段としてやっているに違いないから.それにしても日本のツイッターブームには相変わらず、日本人固有のファション性とトレンディーで右にならえ的なにおいを嗅ぐのは僕だけかな。昨年よく両国を往復して感じたこと、また最近の世界のメディアを読んでて、日本が政治的にも、経済的にも、孤立化または、中枢からはなれていってるような気がしてなりません。広大君のブログを拝見していると、お仕事、でかそうで大変そうですね.是非日本を牽引していく人になっていって下さい.応援します。
Posted by satokazu at 2010年01月14日 08:32
コメントありがとうございました。相変わらずの遅い返信すいません。

おっかなびっくりで始めたTwitterですが、何となく楽しみ方がわかってきて、無理しない範囲でつぶやくようにしています。
こっそり仕事中にもつぶやいたりしているんですが、日本の企業故、年度末に向けてだんだん忙しくなっており、最近はそれすらも時間がとれなくなってきている状態です。
「どんなに忙しくても、つぶやくぐらいの精神的余裕は持とう」と心がけてはいるつもりなのですが…Orz

日本の首相は日に一度がつぶやき目安なので、フォローしたことすら忘れてしまいそうなほどです。
私も今の民主党について、次のようにつぶやいたことがあります。
 >>> 事業仕分けとか見てると、民主党って「大衆迎合」「衆愚政治」という感じが。いや、うすうす気づいていたけど…。自民党と比較するとか関係なしに、「絶対的に」だめだめだよね。

大物政治家のお金周りが騒がしかったり、なかなか日本の未来を見据えた政治が行われているとは思えないのが現状ですね。
アメリカとの基地問題しかり、インド洋での給油活動しかり。なんだかどんどん視点が世界から国内に向けられてしまって、日本国民がみんな一緒に内側へ落ち崩れていくような負のスパイラルが想起されます。

日本でのTwitterについては、私もご指摘の通りだと思います。
最近マスコミでもよく取り上げられますし、テレビに出る顔の売れた人の多くも参入してきているようですし。
このブームが一段落した後に何が待っているかが日本でのTwitterの行方を決めそうですが、一見するとすでに「キャズム」を超えたようにも思えます。
日本独特の無駄に高機能な携帯端末と相まって、Twitterクライアントが標準装備になり、ユビキタス社会の一翼を担うこともあるかもしれません。

いつもいつも身に余る励ましのお言葉、本当にありがとうございます。
なかなかグループ併せて15万人超の企業の端くれでは思うようにいかないことが多いですが、学ぶ意欲だけは忘れずに、日々精進していきたいと思います。

※日本国内を飛ぶすべての飛行機はいろいろな形でうちのシステムが支えています。また日本にいらっしゃることがあれば、ちょっと思い出していただけるとうれしいです。
Posted by K大 at 2010年01月17日 23:54
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