2005年12月08日

《本》『理系発想の文章術』

昨日に引き続き,最近読んだ本から

BookOffの100円棚に並んでいた本を何となく買ってみた.
タイトルは『理系発想の文章術』.著者は三木光範.

Amazonよりあらすじ

企画書や報告書、プレゼンテーションの文章はどう書くのか。最新の脳科学の成果を活用した仕事に使える画期的な文章術。


読み終えたのがちょっと前なので,いまいち印象が薄いのだが,思い出せる範囲で書くことにする.まず「あらすじ」や「はじめに」に書かれている目的(画期的文章術・トレーニング法)を達成できたかは少し疑問が残る.
確かに文章術等について触れられてはいるが,それは決して「画期的」なものではなく,何となく皆がわかっていることだろうという印象を受けた.
それを明示的・体系的に文章化したという功績は認められるが,「画期的」という記述には違和感を覚える.
またトレーニング法に関しては,
 1.複数の人間同士で仕事をし,それを統括する
 2.仕事完遂のためにマニュアルを書いて,説明する
という点を挙げているが,別に目新しい提案ではない.
要は文章を多く書き,他人への説明として理解できるような文章を書きなさいと言うことだろう.

著者は情報システム工学や人工知能の専門家である.
よって,人間の脳の仕組みや認識に関する記述などはそれなりに読み応えがあるものであった.

例えば,脳の短期記憶は7±2チャネルであることなどが挙げられる.
「チャネル」という単位がどういう定義をされているのかはわからぬが,単元的にそれだけの数ぐらいしか記憶できないということらしい.
簡単に言えば,単なる数字の羅列だと7±2個ぐらいしか覚えられないし,事柄の説明でも7±2個以上の単語が現れると認識があやふやになる.
よって,人間は自分の考えをまとめる際にはとにかく書き出さなければならない.
「他の媒体へ書き出す」という,一種の外部記憶を使うことで,脳は記憶を保持することから解放されて,脳にしかできない発想や創造という作業を行えるのだ.

もう一点,私が印象に残った記述は「文章の次元認識」とでも呼べる箇所である.
端的に言えば
 文章=一次元
 図・表=二次元
 脳=三次元以上
ということ.

一次元とは一本の直線であると言い換えてもよい.
つまり,文章というのは時間的な順序に沿った一本の流れに沿って展開される.
また脳の中の思考は三次元以上であるという.
簡単のために,三次元であるとすれば,つまりこれは人間が生活している物理的外界と同じであるということだ.
またそれを補完・補助する存在として,図・表があり,これらは面・二次元として認識される.
これらをふまえて,「書く」こと「読む」ことをたとえると,
 ・書く…脳の中にある三次元的構造物をバラバラにして,再度組み立てやすいように順番に並べていく
 ・読む…提供された材料から元の三次元構造物を作り上げる
と言える.
本書は,「ゆえに理系の文章はある程度のフォーマットを以て書かれなければならない」と続く.

この考え方は私の中にはなかったもので,ある意味,この本で最も画期的だった.
文章にする難しさはこのような認識から来ているのかと,頭の中が晴れ渡った気持ちだ.

他にもいくつかの点に関して書かれている本書であるが,これによって文章術が強化されるか否かは,ここに書かれた私の文章を読めば一目瞭然である.
定価で買うには及ばないが,100円程度であれば読んでも損はないかと思う.
それほどお勧めはできないかな.
posted by K大 at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本を楽しむ
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのTrackBack URL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/1011416
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。